契約書面の交付義務
宅建業者が関与して、宅地又は建物の売買等の契約を締結したときは、
その契約の相手方等に、遅滞なく、一定の契約内容を記載した書面を交付
しなければならない(宅建業法37条)。契約内容を明確にし、紛争の未然防止
を図るためである。
本条で要求する記載事項は、売買又は交換の場合(同法37条1項)、貸借の場合
(同法37条2項)で異なっているが、必要記載事項のすべてを漏れなく記載した
契約書をもって、本条の書面に代えることができ、実務上もそのように取り扱われる
例が多い。
なお、本条の書面は宅地建物取引主任者(重要事項説明を行った者が望ましい)
が記名押印しなければならない。
また、媒介報酬は本条の書面の作成交付後でなければ受領できない
(標準媒介契約約款、商法550条1項、同法546条)。
なお、宅建業者が、宅建業法に基づき、不動産取引に関与するに当たり、取引の
相手方に交付しなければならないとされている書面としては、以上のほか次のもの
がある。
(1)宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、依頼者に対し
遅滞なく一定の媒介契約の内容を記載した書面を交付しなければならない
(宅建業法34条の2)。これを媒介契約書といい、これを交付することなく、
媒介報酬を受領すると処分の対象となる。
(2)宅地又は建物の売買、交換若しくは貸借をしようとするときは、取得しようと
する者又は借りようとする者に対して、その契約が成立するまでの間に、当該物件の
重要事項について取引主任者をして、その内容を記載した書面を交付して説明させな
ければならない(宅建業法35条)。