既存住宅の建設住宅性能評価書

登録住宅性能評価機関が、実際に住宅を検査することにより作成した住宅性能評価書を「建設住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第6条、同法施行規則第5条)。

この建設住宅性能評価書には、新築住宅に関するものと既存住宅に関するものという2種類があるが、そのうち既存住宅に関する建設住宅性能評価書はおよそ次の1.から4.の手順により作成される。
なお、既存住宅とは「建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅」のことである。


1.建設住宅性能評価書の作成の申請


既存住宅の売主または買主が、登録住宅性能評価機関に対して、評価を希望する分野を明

らかにして、建設住宅性能評価書の作成を申請する(同法施行規則第5条第2項)。

既存住宅について評価すべき項目は、「現況検査により認められる劣化等の状況」と

「個別性能に関すること」という2種類に分かれている。

このうち後者の「個別性能に関すること」をどのような分野について実施するかは

売主または買主の自由に委ねられているので、申請に当たっては評価を希望する分野

を明示しておく必要がある(詳しくは「日本住宅性能表示基準」へ)。


前者の「現況検査により認められる劣化等の状況」についても、後述の特定現況検査

を実施するかどうかは売主または買主の自由である。


またこの申請に当たって、売主または買主は、既存住宅の付近の見取り図などの

必要書類を提出する必要がある(国土交通省告示「建設住宅性能評価のために必要な

図書を定める件」より)。



2.現況検査


登録住宅性能評価機関の評価員が、現地を訪問して、ひび割れ・欠損・剥がれ・傾斜など

の劣化状況を検査する(これを「現況検査」という)。この現況検査は目視・計測により

行なわれる。また現況検査の範囲は、外部から目視できる範囲に限定されており、屋根

裏・床下は除外される。


なお売主または買主の希望により、木造部分についての腐朽等・虫害の検査(これを「特

定現況検査」という)を実施することもできる。この特定現況検査は目視・打診・触診に

よって行なわれ、屋根裏・床下に評価員(または委託を受けた専門業者)が入り込んで検

査する。


3.個別性能評価


登録住宅性能評価機関の評価員が、現地調査(現地における目視・計測)により「構造の

安定」「火災時の安全」「維持管理への配慮」「空気環境」「光・視環境」「高齢者等へ

の配慮」という6分野(21項目)の性能評価を行なう。ただし、これらの個別性能評価を行

なうかどうは売主・買主の自由である。


4.建設住宅性能評価書の作成


上記のような検査と個別性能評価にもとづき、登録住宅性能評価機関が、既存住宅に係る

建設住宅性能評価書を作成し、売主または買主に交付する。